チキンライス訪問記－アジアン小皿酒家　茉莉

　コメント：当地は今年が駅の開設３０周年であるが、開設当初は当店ももちろんなければ駅前はただの空き地が広がっていたという。典型的なニュータウンで東急の開発によるものであるが、当地にいるとある種のハイパーリアリティーを感じずにはいられない。街には当店のようにどこにでもあるような店が並んではいるのだが、今ひとつ現実感がないというか、街そのものが仮想現実に見える。もともとは多摩丘陵を切り開いて開発した街だが、故に突然出現した街である、すなわちハイパーリアリティー。北海道と通ずるものも感じるが、気楽さがある半面、営みの重みを実感することもない。歴史がないということはこういうことなのかとつくづく感じる。もちろん、そうことでいえば首都圏全体がそうなのかもしれないし、歴史がある地域の方が実は日本全体では少数派なのかもしれない。こうして突然出現した街に生まれ育った世代が根付き世代を重ねることで街は歴史を刻んでいく。さてその世代とは何世代なのだろうか、百年、二百年なのか、いや、もっと気の遠くなる年月が必要なのか。いろいろ思いをよぎらせつつ当地を後にした。