その他とりめし(その他)(一覧表)に戻る
 鴨せいろ
 浅草つむぎ(東京台東)(2011/12/31)
 東京都 台東区 浅草 2−22−12
 TEL:03-3844-8713
 コメント:手打ち蕎麦。本項が今年最後の更新となる。この数日、何を書こうかと開設者は正直考えあぐねていた。ようやくまとまりつつあるので以下述べることとしたい。
 震災のあの日、開設者は都内勤務のサラリーマンの一人として職場で勤務していた。たまたたま人事異動の内示を上司から説明を受けていた時にあの揺れが始まり、揺れがいつもより長いという印象をその時受けた。その後ああいう大惨事になるとはその時は想像だにしなかったが、あの日は以後もはや仕事という状況ではなくなった。ネットやテレビで次々と伝えられる現地の惨状に言葉を失い、呆然と見ているしかなかった。帰宅できないので会社に残留したが、一睡もできず一晩報道を見続けていた。幸い首都圏はライフラインが止まらなかったので会社に残留すれば一晩しのげたわけであるが、翌朝帰宅する際、これまでにない脱力感に襲われたことを今でもはっきり覚えている。あの日のことは生涯忘れることはないであろう。
 その後、現地には4回ほど出向いた。一通り各地を見てきたのだが、徹底した破壊、跡形もない惨状は強烈な衝撃だった。ネットやメディアで伝えられている映像とは全く異なるというべきであって、静まりかえった一帯の光景には全く言葉がなかった。巨大な堤防がもろくも崩れ去っているのを何カ所も見た。人間の限界を感じた。
 被災地の復興を心から願う、人々が安全・安心な暮らしをできるよう抜本的な対策、すなわち全面的な高台への移転や臨海部に再び市街地や住宅地を作ることがないよう、今後強力に政策を推進していく必要がある。
 一方で、この未曾有の災害、日本全体としてどう受け止めているのか、最近不安を感じている。今回は津波による被害であるが、災害は何も津波に限ったことではない。特に首都圏はそのことを忘れ始めているのではないか、と開設者は危惧を新たにする。
 東京という都市はあまりにも巨大になったが故にもはや都市機能維持の限界を越えているといわざるを得ないし、日本の人口分布が首都圏にあまりにも偏りすぎている。これでは首都直下型地震が襲来した際どうにもならなくなることは必至であろうし、日本の存亡に関わる。
 東京というコードはもはや解体しなければならない、そういう時期に来ている。今回の震災はそれに警鐘を鳴らしたというべきであって、日本にとっていわば最後のチャンスであろうと開設者はとらえている。解体すべき’東京’とは、東京を価値の最上位とする考え方、そのものである。
 日本は元来、各地の多様な文化や社会が日本全体として活力を産む源泉になってきた。明治維新や高度経済成長はその賜であって、そのことを我々は忘れてはならない。
 本件では各地の食に触れることも多いのだが、多彩多様な食文化に開設者はいつも驚いている。とともに、それぞれを比較することで新たな視点や発想が生まれる。これが大切なのだろうと開設者は常に思う。
 比較ができないということは、言い方を変えれば盲目になるということである。視覚であれ言語であれ、自他・主客の差異を知覚するからゆえに認識として成立する。認識できないということは、すなわち盲目に陥る。
 日本はこの20年ほど停滞しているというのが、人口に膾炙した’認識’である。この原因は何か、開設者も常に考えているところではあるが、おそらくは’東京’を至上の価値とする’認識’に根本的原因があるのでないか、と考えざるを得ない。
 停滞を打開するためには、東京というコードそのものを解体するしかない。開設者は改めてその思いを強くしている。
 そのためには開設者ももっと具体的にいろいろ取り組んでいかなければならないし、来年はそういう1年であるようにしたい。