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 鴨肉のロースト ル レクチェ添え バルサミコソース
 DOOM(東京世田谷)(2009/12/08)
 東京都 世田谷区 三軒茶屋 太子堂 4−22−12
 TEL:03-3412-1599
 コメント:ル レクチェとは洋梨の一種とのこと。まずは鶏のリゾット。キャベツの代わりにネギを使ったとのこと。次は鴨のロースト、鴨肉は独特のクセがありこれをどう御するかがポイントとなる。本件でもロースト、すき焼き、鍋料理、チキンライス、といろいろ試してきたが、ローストはうまく仕上がれば肉の臭みもすっきりとれて肉のうまみを楽しむことができる。しかしながら、鴨肉の臭みと引き替えに鴨肉独特のコクも失われてしまう。そこでソースをどうするか、肉のうまみをいかに引き立てるかが肝要となる。ほんの数滴で劇的に味が変わるといわれているバルサミコ酢は、今回も遺憾なく本領を発揮していた。酢であり酸味なのだが、ほんのりかすかな甘みもあり、官能的とさえいえる、熟成した酸味である。この酸味が鴨肉に対し、本来の野趣味をそっと、しかし無理がないように引き出している。鴨肉は野趣味がえぐみとなってしまうのだが、えぐみを感じさせない程度に野趣味をうまく引き出していた。バルサミコ酢のマジックというほかない。今回はここからがすごかった。添えられたル レクチェ、洋梨なのでラ フランスのように食べるとしゃりっとした舌触りとほんのり甘みのある果汁が口いっぱいに広がる。和梨のみずみずしさはないが、しっとりとしたうまみがある。せっかくなのでとル レクチェを肉の上に載せて食べてみたところ、肉が全く別物になったので驚いた。バルサミコソースで引き出された味をル レクチェがしっかりと受け止め、やさしくつつみこむようであった。かといって肉の存在が消えるわけではなく、むしろ強烈に、しかし無理なく引き立てられている。鴨肉の野趣味を存分に発揮させながら、余計なえぐみや雑味は一切なくなっている。全体に極めて高次元でバランスがとれている。食の取り合わせとはいうが、ここまでのレベルになるとは、各食材が持つ力が見事に引き出されたとものとしかいいようがないであろう。