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 玉子かけご飯
 白卵懐(はくらんかい)(北海道長沼)(2011/10/15)
 北海道 夕張郡 長沼町 東11線南5
 TEL:0123-88-1700
 コメント:玉子かけご飯専門店。黄身の色に注目してほしい、通常見かける黄色ではなく薄い黄色、レモン色をしている。店主に聞いたところ、使用する玉子が違うとの由。鶏はケージを使用せず庭で放し飼いしし、餌は米ぬかを中心にしており配合飼料は全く使っていないという。食べてみると黄身に自然な甘さがあり、えぐみやくどさは全くない。玉子そのものが抜群にうまい。かける醤油はさっと一回りかけるだけで十分である。玉子のうまさと、無理なくなじむ飯とのコラボレーションをじっくり堪能することができた。本件では、これまで全国各地の玉子かけご飯専門店を紹介してきた。各店とも使用する玉子、醤油に趣向を凝らしていて、特に醤油はだし醤油を基本としながら各店オリジナルの醤油にしのぎを削っている。そのため、市販品でも玉子かけご飯専用醤油が多数発売されている。しかし、玉子かけご飯の真髄とは何か、改めて考えてみる必要があろう。玉子とご飯、それだけである。食材の味がそのまま出てくる、一切の細工もごまかしもきかない、それが玉子かけご飯というものである。となれば、食材としての玉子、玉子そのものがいかにうまいか、結局はそこに行き着く。開設者は各専門店で玉子かけご飯を食べながら、玉子かけご飯とは一体何か、食べれば食べるほど逡巡するところもあった。今回その回答が見えたように思える。玉子かけご飯はだし醤油にこだわるものではない、結局は玉子そのものに尽きるということである。健康な鶏、自然で無理のない給餌こそが良質の玉子を供給する、そこに他ならない。当店の玉子は生産に手間もコストもかかるものであり全国で広く普及するというわけにはいかないのであろうが、食は生存の必須要件であり、味覚や食文化は人間が人間たるための必須要件である。食をないがしろにしては生存も文化もない。近時は原発事故や震災のためか、日本国内でにわかに食の安全に対する関心が高まっているが、見方を変えれば今までは一体何だったのかという疑問を開設者は感じる。遅まきながらにはなるであろうが、食の安全や良質な食材の供給について、日本は今こそ本腰を入れて取り組む必要があるであろう。良質な食材にはコストはかかるものであるし、それを負担せず廉価で求めるというのは虫が良すぎるというものである。ブランド食材といってむやみにありがたがるのも問題があろう。当店のような店の存在が、食に対する日本社会のの姿勢を変革してくれるきっかけになることを開設者は望む。今回の一品はすばらしい仕事であった。店主に感謝したい