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 牛すきやき
 今半(東京中央)(2007/07/01)
 東京都 中央区 日本橋人形町 2−9−12
 TEL:
 コメント:当店は明治28年創業の牛すきやき、チェーンしゃぶしゃぶ店であるが今回会食でいく機会を得た。牛なので本件では対象外であるのだが、本品において玉子がどのような役割を果たしているのか、すきやき、しゃぶしゃぶの経緯をふまえて考察してみたい。我が国では肉食は長らく禁じられ明治になってようやく解禁された経緯がある。その間実に1000年にわたるというのであるから、我が国での肉食の歴史はこのほんの150年にすぎない。解禁当時は天皇自らが肉食を積極的にすすめたり、福沢諭吉も再三にわたり肉食の利点を強調している。富国強兵の時代、西欧列強と対抗していくためには日本人の体格向上が必須とされたために肉食が何より大切であると判断されたことに他ならない。しかしながら、1000年続けてきた習慣を変えるのはそうたやすいことではない。今ならば笑い話になってしまうが、肉食をするとたたりになるとか肉のくさみは何より穢らわしいものとまじめに議論されていたほどである。故に今でも屠畜に抵抗感を示す日本人は少なくない。もっとも、魚の活き造りは欧米人が見ると卒倒するということであるから、文化の違いというのがいかに深層心理に働いているのか、如実に物語っている。さて、当時こうした背景があったため、肉食をどうすれば普及できるのか、どうすれば食べてもらえるのか、先人は必死になって取り組んだ。すきやき、しゃぶしゃぶはまさにそうした背景があったからこそ生まれた一品に他ならない。すなわち、肉そのもののうまさを、ある意味で回避することで肉を食べさせようとする手法である。すきやきの割り下があれほどくどい甘さがあるのは肉のくさみを消すためであるし、しゃぶしゃぶではすすぐことで同様に肉のくさみを流すということになる。こうして、ある意味で肉のうま味、よさを犠牲にしながらも肉食の一品として完成させたのがすきやき、しゃぶしゃぶである。そうなると、すきやきの玉子が何を意味するのかは自ずと明らかになる。すなわち、肉のくさみを完全に消して肉自体のうまさを味わせるために、黄身で包み込むということである。これは強烈なレトリックである、そこまでして肉を無理して食べなくてもよいのではないか、もちろん今ならそう思われるであろう。焼いた肉の肉汁のうまさといったら、たまらないとこたえる日本人が大半であろう。鶏もそうであるが肉汁は獣肉のうまさの真髄である。しかしながら当時の日本人にはそれはかなわぬ味だった、故に肉を否定しながら肉食を勧めたのである。当店の玉子は玉子自体がうまい玉子であり、そのままたまごかけご飯にしても十分うまい。肉をつけるために使うのはもったいないともいえる。しかしながら、すきやきのこうした経緯を考えるとき、故に玉子も必須の食材として取り上げられたのである。今回はこうした経緯をしのびながら舌鼓を打った
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すきやき(2016/01/29)
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