めはりずしとタマゴカツ
総本家めはりや(和歌山新宮)(2009/06/30)
和歌山県 新宮市 緑ヶ丘 1−1−39
TEL:0735-21-1238
コメント:めはりずしとは塩漬けした高菜で飯を包んだもので、当地では古くから食されていたという。今回当地に立ち寄ったので試してみた。食べはじめは高菜がうまくかみ切れず難儀したがほどなく慣れた。高菜の塩味と飯の塩梅、まさにこういうことを塩梅という、が絶妙であり、高菜のみずみずしさがフレッシュさを添えていた。他にタマゴカツも試してみた。大阪の串カツであるが、玉子を小分けにして串カツにしたもの。めはりずしはご覧のように量がやや多かったがタマゴカツがよい口直しになった。
ところで、その後那智勝浦町に移動し、一度見てみたかった渡海船(とかいせん)がある補蛇洛山寺(ふだらくさんじ、世界遺産)を訪ねた。渡海とは、観音菩薩が住む山(補蛇洛山、チベットのポタラ宮もここから派生している)に向かって海を渡る(渡海)をいう。かつて当地の浜が補蛇洛山に通ずると信じられ、平安時代にある僧が船に乗り補蛇洛山を目指して旅立った。以降、江戸時代まで渡海として当寺独特の風習として続いたという。写真は渡海船の復元模型である。ご覧のように四方に鳥居が建てられているが、渡海僧は船の中で入定するので鳥居があらかじめ建てられたとのこと。僧がこの船に乗ると入り口は釘打ちされ封印される。そして沖合まで曳航され、綱を切られた後はただ漂流し、その後は誰も知らなかったという。信心熱心な僧が入定を前提として渡海することから始まったこの奇習はやがて神秘化され、今でいう一大観光イベントとなっていたらしい。入定を前提に旅立つというのは現代人ではなかなか理解できるものではないだろうが、この船のコードを考えるとやはり慟哭を覚えずにはいられなかった。