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 ひえつきそば(鶏)
 椎葉村地場食品開発株式会社(宮崎椎葉)(2013/12/31)
 宮崎県 東臼杵郡 椎葉村 大字下福良 1829−33
 TEL:
 コメント:とねどりトッピング。
さて、本稿が今年最後の更新となった。今年は、食文化にとって重大な事件が露呈した。10月下旬以降に次々と露呈した食品偽装問題である。牛肉やエビの偽装が主だったが、鶏肉も一部あり開設者は心を痛めている。これまでも散発的に露呈してきた問題ではあるが、ここまで規模が大きいものは初めてだった。
食品、飲食業界を取り巻く経営環境の厳しさが原因なのか、それとも体質的なものなのか開設者も考えあぐねたが、いずれにしても食に対する信頼を失墜させた責任は重大であるといわざるをえない。古来羊頭狗肉とはいうが、メニューは正しく表示して当たり前である。偽装を誤表示と僭称するケースもあったが、メニュー表記は飲食役務提供契約を締結する上で最重要事項であり、役務提供者としてメニュー表記の誤りは許されるものではない。
食品偽装の発端は、戦後混乱期まで遡るらしいが食糧不足の折にかさを増すために他のものを混ぜたり代用品を偽装したことが行われていたようである。偽装して高く売れれば儲けになるわけで、業界として体質化していったのであろう。飲食後に何か物体が残るというものではないし、まして飲酒時であれば味覚が鈍感になることも多いわけであるから、偽装が横行する背景になっているのかもしれない。
偽装の対象として、ブランド食材や高級食材の名が挙がることが多いが、ある種の都市伝説なのか、人々はブランド食材名をありがたがり喜んで高額の飲食代を支払う。
しかしながら、そういう食材を味覚で認識できる人がどれだけいるのか。開設者自身、鶏肉に関しては多少は食べ歩いているつもりではあるが、地鶏の銘柄を食べて区別できるものではないし、火を通した料理ならなおさら難しい。
 
食材はあくまで食材であって、うまい料理に仕上げることは別である。いくらいい食材であっても、調理が下手であればうまい料理にはならないし、食材の特性を活かした調理をしないとその食材のうまさは引き出せない。鶏肉に関していえば、肉がばさつかないようにじっくり火を通すこと、これに尽きるであろうと思う。
ブランド食材名を標榜しなくてもうまい料理を出す店はいくらでもあるし、開設者自身鶏料理ではそういううまい店でうまい鶏料理を何度も経験している。
飲食業の本旨は、日々入荷するさまざまな食材をいかに活かしてうまい料理を作るかのみにあると思う。それは食材に対して敬意を払うことであり、うまい料理を食べて喜ぶ客も同様に食材に対して経緯を払うことになる。これが飲食業の存在意義、生業の醍醐味ではなかろうか。
 
日本は長らく食糧不足が続き、米自給率が100%を超えたのは昭和40年である。皮肉なことに同年から米の消費量が低下し始めたのだが、現在に至る飽食の始まりであった。かつては滅多に食べられない食材が日常的に食べられるようになり食卓は豊かになっていったが、同時に失ったものは実は多いのではないか。例えばウナギはシラスウナギの乱獲で日本産ウナギの生産は瀕死の状態となってしまったし、食料自給率が低下する中での畜産は専ら輸入飼料に頼る結果となり、異常な状態である。偽装食材でしばしば対象に挙がった「国産黒毛和牛」は、飼料の多くが輸入穀物を原料とする濃厚飼料であるという。輸入穀物を飼料にしていて’国産’というのは茶番以外の何物でもない。
 
食料輸入は、実は水を間接的に輸入していることを意味している。穀物であれ肉であれ、原産国での生産には水が必須であるので、食料は水を形に変えたものに他ならない。世界的に人口が増え続ける中で、水不足が今後表面化してくるであろう。水を原因とした、国際紛争や問題提起が起きることは確実であろうし、日本が巻き込まれないという保障はどこにもない。
一方で日本は、幸いなことに水には恵まれた環境にあり、米作にせよ畑作にせよ生産に必要な水は十分にある。このため、本来であれば食糧自給率は100%を超えていなければならないはずであり、世界に対する責任であるといえよう。
 
肉食は飽食の象徴であり、畜産は大量の穀物を消費する。畜産の指標として「飼料要求率」があり、肉を1kg生産するために必要な飼料の量を示すものだが、鶏肉は2,豚肉は4、牛肉は10とのことである。すなわち、牛肉1kgを生産するには10kgの飼料が必要ということを意味する。
 
仮に全世界の肉食がすべて牛肉になった場合、どういう事態になるであろうか。飼料となる穀物生産は追いつくのであろうか、結論は自明であろう。
肉食を維持するのであれば、飼料生産まで視野に入れた、持続可能な食糧供給システムの構築を目指すべきであり、それができなければやがて破綻するであろう。まして、水不足が今後世界的に深刻化してくることをふまえれば、自国の穀物生産の範囲内で肉を生産することは必須になると思われ、いいかえれば飼料要求率を考慮に入れた畜産の推進ということである。
飼料要求率が相対的に低い鶏肉生産は、持続可能な食糧供給システムの構築に貢献できるものであろうと開設者は考えている。
 
開設者は、かねて鶏食の推進、鶏食文化の発展を願って本件を開設しているが、理由はこういうことであり、今後も引き続き更新を続けていく予定である
 
 http://shiibayama.com/
 
 
フレンチトーフ(2014/08/10)
コメント:凍り豆腐をフレンチトースト様に仕上げた一品