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鳥鍋、スープご飯
 鳥栄(とりえい)(東京台東)(2005/10/06)
 東京都 台東区 池之端 1−2−1
 TEL:03-3831-5009
 コメント:予約専門店。なかなか予約が取れず常時2,3ヶ月待ちらしい。当店は創業90年とのことであるが軍鶏鍋のみをやっているとのこと。座敷で火鉢がありそこで炭火で鍋をいただくという趣向、さてどのような一品なのか。鍋は底浅でさほど大きくないが、まず炭がくべられる。鍋を置き、ガラスープを注いで炭火でしばし加熱。一方、鍋の具材はまず軍鶏肉、葱、豆腐と、それから大根おろしが用意されており、スープが加熱したら具材を入れて軍鶏鍋を仕立ててしばし舌鼓を打つ。軍鶏は肉質が固いので鍋にするのがまさに最適な食材であるが、あっさりとした食感だった。脂身はないが締まった肉質であり、なるほど鍋にする理由がよくわかった。葱、豆腐もにくい脇役であるが、これ以上具材をいれないというのも、肉の味を楽しむために徹底して考え抜かれた故なのだろうと思った。軍鶏鍋が終わると次はスープを飲むように勧められた。塩を少し入れてスープを飲んでみたが、このガラスープ、ガラの味が濃厚でありながらくどさがまったくなく、透明だった。スープをとった後に徹底して漉したのであろう、ガラの味だけが素直に楽しめる。続いてつくねの登場となる。軍鶏鍋を食べている間に調理場でつくねを作る音がしていたが、これも徹底して丁寧に準備したつくねだった。肉がクリーム状になっており、よほど丁寧にたたき込まないとこうはならないのであろう。そのつくねをさじで一口大ずつ鍋に入れる。ゆであがったところで早速賞味すると、普段食べているつくねとは別の味だった。すなわち、軍鶏の肉は肉質が固いはずなのだが、固さやすじが全くない、ふわっと柔らかく、これがあの軍鶏の肉なのだろうかと驚くばかりであった。ある意味で肉らしさを感じない、不思議な食感でもあった。つくねが終わるといよいよご飯の登場となる。当店では〆のご飯としておひつで供されるのだが、ご飯自体が一粒ずつ立っていておかず自体がいらない出来である。そのご飯にまた塩を一降りするよう勧められ、そこに鍋に残ったスープをかける、スープかけご飯である。ここで更に驚くのが、スープはつくねを食べ終わったあとなのでつくねが残っているわけだが、上述の通りつくね自体が他とは異なる出来なので、まるで玉子を鍋にいれたかのような、白身が鍋に浮いているような状態である。そのスープをご飯にかけると、先ほどの一降りの塩がスープの味を引き立たせ、ご飯に自然だが力強い、鳥の味わいを加える。あっさりしているが味はしっかり主張する、すばらしい「とりめし」である。なるほど食材を徹底して吟味し、調理も徹底して丁寧に行い、味付けは余計なことをせずに各食材の味を最大限引き出すようにすると、ここまですばらしい出来になるのかと、今回はまさに感服だった。(2006/10/23付記)再び訪問、前回同様完璧な食に脱帽であった。鳥鍋をつつきながら酒を楽しむ、まさに池波正太郎氏の小説の世界そのものなのだろう。それにしてもスープご飯は格別である、思わずおひつごとおかわりをした。
http://gourmet.livedoor.com/item/100/i20825006/
軍鶏鍋
 
具材
 
鍋を始めたところ
 
つくね
 
つくねを茹でたところ
 
鶏スープ
 
つくねの花
 
スープかけご飯
 
スープかけご飯にかける前の状態
 
座敷の情景