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かしわ洋食
 鳥美(大阪岸和田)(2008/12/27)
 大阪府 岸和田市 堺町 7−29
 TEL:072-422-5816
 コメント:お好み焼き店。ここもかしみん使用とのことにて試してみた。せっかくならと洋食とお好み焼き(かしわお好み焼き)の両方にしたのだが、食後さすがに少々苦しくなった。こなもん(粉もの)の本旨ということであろうか。当店のかしみんは肉がこりっとした食感で歯ごたえがある。ここでもかしみん独特のコクが味全体を奥深くしている。さて「洋食」だが店主に聞いたところ「こなを使っていない」とのこと。さて何だろうと思案したところ、先日読んだ池波 正太郎先生の食エッセイ(チキンライスと旅の空)の一節を思い出した。それによると戦前は東京で「どんどん焼き」という一品があり、お好み焼きに近いものだったという。それが戦後大阪に伝播しお好み焼きとして発展したという説もあるのだが、小麦粉を水で溶いて鉄板に焼き具材を載せて仕上げるというスタイルは、先生によると下町の洋食であったという。戦後東京では廃れてしまったがそうした一品が「洋食」として存在していたのは事実である。京都にも一銭洋食という一品を見かけたが、お好み焼きとは微妙に異なる一品なのであろう。当店のはさっぱり感があり具材を混ぜたクレープという風でなかなかよかった。もっとも先生はどんどん焼きを評して「お好み焼きのような雑駁なものではない」としているが、さすがに言い過ぎであろう。本件でも鶏でお好み焼きがあれば今後も随時取り上げていく方針。こなもんというジャンルは食の伝播発展過程を考察する上でなかなか興味深い。食文化のよい研究事例になるかもしれない。