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薬膳ランチ 一汁八菜
 韓国薬膳 はいやく(東京中央)(2005/05/04)
 東京都 中央区 銀座 4−10−10
 TEL:03-3547-3526
 コメント:薬膳料理は開設者も以前から興味があり一度訪問してみたいと思っていたが、銀座で韓国薬膳の店があると知り、今回訪問してみた件。当店の説明によると、韓国薬膳は陰陽五行説に基づき「五味五色」、つまりバランスを取った食事を大切にするとのことで、「薬念」として各種食材をバランスよく使って薬膳を作るとのこと。いわゆる医食同源であり、もともとは漢方から来ているものであるが、韓医学として発展した体系に基づく料理、といえよう。今回はランチで試してみたが、写真の通り小皿がたくさん並んでいてキムチや和え物を中心に食材の良さを自然に引き出そうとしていることがよくわかった。メインは豆腐チゲと十二穀米であるが、前者はアサリと豆腐のチゲであさりうまみが存分に引き出された、自然な優しさを感じさせるチゲであった。後者は独特のもちもち感が特徴であり、雑穀米のよさはかねて開設者も調べては来ているが、十二穀というのは初めての経験であり、確かに滋養によさそうだと良く納得できた。参鶏湯もあるそうで、機会があればまた行ってみたい。ところで、この薬膳というもの、日本でも漢方から日本独自の薬膳や精進が発達したわけであるが、日本でも韓国でも中国でも、薬膳とはすなわち各食材のよさを自然に引き出してバランスをとることを主眼としている。もちろん漢方薬の薬としての効能を積極的に取り入れようとする側面もあるが、あくまで漢方薬にのみ頼らずに各食材それぞれからよさを引き出して滋養によい薬膳としての一品を目指す、そういう料理である。この点に注目すると、広義の薬膳という見方をすれば、各国それぞれの伝統料理、たとえばヨーロッパにおけるハーブやオリーブ油の使用、アジア地域におけるスパイスの使用、南米地域におけるマカの使用、というように各地で広義の薬膳というものが実はもともと存在していた、と言ってもよい。各地域での伝統的に食べてきた食材、料理法、つまり食文化において健康を増進してバランスを取るための工夫というものがもともとあった、これが先人達が各社会で作り上げてきた知恵というものであろう。薬膳は何も漢方の専売特許ではなく、各地域で尊重されるべきすばらしい食文化から薬膳と呼べるものを今後は積極的に探していくべきであろうと考える。栄養学、文化人類学はこれまでややもすれば特定の地域の食文化をもっぱら持ち上げて比較優位的に評価するきらいが大きかったと思われる。現在、ファーストフードの否定やスローフードへの回帰と言われているが、単に流行で追うのではなく、各食文化の特色やよさを積極的に学んで尊重する、そういう姿勢が不可欠であろうし、その上で各食文化からよいものは積極的に取り入れるというのが今世紀の新しい食文化、目指すべき薬膳、ということになるのであろうと開設者は考える。
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